Dr_Salmiの研究室

食にまつわる話題

2021-01-01から1ヶ月間の記事一覧

菌活ブームの成分 ”βグルカン” ー由来が違えば作用も違う?

免疫機能の7割が腸に集まっています。私たちは最近、この腸管免疫を意識した商品の宣伝で、「菌活」などという言葉をよく聞くようになりました。菌活食品が、小腸、大腸、一体どのように作用しているのでしょうか。 小腸には、いろんな食べ物や飲み物が運び…

ビタミンDは何に入っている?どれくらい日光に当たればいいの?

昨日の投稿で、ビタミンDの低下がウイルス感染症のリスクを上げることを書きましたが、摂れば摂るほど良いというわけではなく、過剰摂取にならないように注意も必要です。 ビタミンDの過剰摂取は、「腎臓や筋肉へのカルシウムの沈着や軟組織の石灰化が見られ…

ビタミンD、コロナウイルス 感染症のリスクを下げる

新型コロナウイルス 感染症、第二回目の緊急事態宣言下では、一回目の時とは異なり、マスクや消毒用アルコールは店頭にずらっと並んでいます。 ニュースは感染者数に加え、もっぱらワクチン接種の見込みに集中しています。感染予防にはまずマスクで、ワクチ…

シャーレ生まれの未来食ー培養肉"チキンナゲット"の販売が始まる

この度、シンガポールではニワトリの羽の細胞から培養された培養チキンナゲットが、世界で初めて発売されました。 「土地が狭く、食料の生産に限界があるシンガポール。国内の農畜産業の規模が限定的なこともあり、政府は新たな食料の生産技術の導入にも前向…

アルツハイマー病の予防に取りたい3つの食品

アルツハイマー病は、65歳以上の高齢者の15%が罹患していると言われています。国内の患者数は200万人を超えていて、年々増加しています。2025年には500万人に近づくという推計もあります(参考:厚生労働科研データベース201405037A)。 アルツハイマー病は…

やはりホットケーキミックスはアルミニウムフリーがいい

アルツハイマー型認知症(アルツハイマー病)では、アミロイドベータやタウといったタンパク質が神経細胞に蓄積してダメージを与え、認知機能が障害されます。 以前、アルミニウムがアルツハイマー病と関係することが指摘されましたが、その後、否定する見解…

安心して卵がけご飯が食べられる理由

人気のある「卵がけご飯」は日本の伝統的なメニューの1つです。その他にも、すき焼きや納豆など、日本の食の様々な場面で生卵が出てきます。我が国では、卵の衛生管理が徹底しているということで、生卵を食べることができます。 なぜ、海外では生卵を食べる…

カカオの価格の低下で血圧も下がる?

昨日、NHKの突撃カネオくんという番組(再放送?)をみました。チロルチョコレートを作っている会社の話でした。茶色のパッケージがもっとも印象に残りますが、いろんな味のものが次々に販売されているようでうす。 駄菓子屋にくるような子供にもチョコレー…

続く食品偽装〜なぜ終わらないのか

1ヶ月ほど前のニュースですが食品偽装に関する報道がありました。 「中国産小豆使用の粒あん「十勝産」と偽装し販売 旭川の製餡所」(産経新聞2020年12月14日)によると、旭川市の食品製造業「福居製餡(あん)所」が、販売する粒あんに中国産の小豆を使用…

謎の二酸化炭素でカフェインが消えた、デカフェコーヒー

コーヒーに含まれるカフェインの作用として、まず、眠気覚まし、利尿作用が思いつきます。その他に、集中力や運動能力を高めると言った作用も分かっています。さらにポリフェノール が含まれるために、健康への効果も期待されています。 健康効果が期待され…

芋粥に使われた幻の甘味料

現在、天然の甘味料といえば砂糖(ショ糖)で、サトウキビやテンサイがその原料となります。砂糖が日本にやってきたのは奈良時代だと言われています。 当時は薬用とされ、一般に調味料として用いられたのは江戸時代以降ということです。当然人工甘味料などな…

タウリン

昨日、愛知県からお越しの先生に、頂いた「たこせんべい 」のお礼のメールをお送りしました。数分後に「えびせんべいですから!」と返信が。兵庫県淡路のたこせんべい とパッケージがそっくりだったので、気になって調べてみました。 検索の結果、メーカーの…

骨を助けるビタミン 〜レモンブームは続く

いろんな食品、飲み物、お菓子に「瀬戸内レモン味」などが登場し、レモンブームが続いています。 レモンといえば豊富に含まれるビタミンC。それ自身が酸化することにより、体内で発生する活性酸素による酸化反応を防ぐ働きがあります。不足すると壊血病(各…

古くて新しいフリーズドライ

「餃子を宇宙へ 高山の店主がフリーズドライ成功」(中日新聞:2021年1月13日) 記事によると、岐阜県高山市の餃子屋さんと岐阜県食品科学研究所が共同で開発されたそうです。焼き餃子独特の、皮のパリパリ感と、中のジューシーさが保存されているのか興味が…

お茶は発酵で作られていない?

発酵食品の健康効果はますます注目されています。ヨーグルト、納豆、キムチなど、微生物のがその製造に欠かせないこともよく知られています。お茶の製造で「発酵させた」という表現が教科書や巷のことばとして目に付くので、気になって調べてみました。 生化…

あまり意味がない?ビールのプリン体ゼロ

DNAやRNAの構成単位は「ヌクレオチド」と呼ばれます。このヌクレオチドが体内で分解されるとプリン体(プリン塩基)が生成します。プリン体は尿酸に変化しますが、血中尿酸濃度が高まると関節に結晶としてあらわれ、痛風の原因となります(健康な人の濃度 7.…

牛乳が睡眠を助ける

満腹の時やアルコールを飲んだ時に眠たくなります。満腹まま寝ると健康に良くなく「牛になる」と言われてきましたが、睡眠を助けてくれる食品として、牛乳が挙げられます。睡眠を促すメラトニンが含まれているのが理由です。 フィンランドの研究(Nord J Psy…

SPF豚

牛肉の生食、ステーキのレアがあるのに、豚肉は火を通さなくてはいけません。豚肉は寄生虫、E型肝炎ウイルスなどに感染していることが多いためです。現在は、特定の病原体が存在しない豚、いわゆるSPF(Specific pathogen free)豚が市場に出てきました。 遡…

Fugu

「秀吉が禁じ伊藤博文が解いた「フグ食」、調理資格に「全国統一」の動き」(読売新聞オンライン:2021年1月15日) によると、 「調理を誤ると命にかかわる「毒」を持つことから、都道府県はそれぞれフグ調理の資格に関する条例などを定めている。だが実は、…

ノロウイルスの予防

ここ数日、ノロウイルスの感染が増えています。 「今年初 ノロウイルスで65人食中毒(熊本)」(テレビくまもと:2021年1月15日 ) 「今季初のノロ集団感染 府中市の高齢者施設」(広島ホームテレビ:2021年1月16日) ノロウイルスによる急性胃腸炎は毎年…

食中毒にも気をつける

食中毒については、コロナウイルス感染症のニュースの陰で、例年ほど騒がれなくなったように思います。どれくらい少なくなったのでしょうか? 厚生労働省のデータ(厚生労働省「食中毒統計資料」)によると、2020年の件数は802件、患者数は10,069人となって…

カレーの後にチャイやラッシーが出て来る訳

寒い時期になると食べ物に温かさだけでなく、辛さを求めることがあります。カレーやキムチ鍋など。辛ければ辛いほど口の中全体が燃えるような感覚になり、体が温まります。私たちは味を舌で感じていますが、辛さは独特の反応を示します。舌には味細胞があり…

人工甘味料

今、どのような形でアメリカの現大統領が退任するのか、世界が注目しています。4年前の就任時、彼は1日12本ものダイエットコークを愛飲しているということが話題になりました。このコーラは人工甘味料を用いることで、カロリーを抑制しています。使用されて…

亜硝酸ナトリウム

ハム、ソーセージなど加工肉の発色剤として用いられる亜硝酸ナトリウムについてです。東京都福祉保健局のページから引用します。「食肉中のヘモグロビンやミオグロビンと結合して、食肉製品を鮮赤色に保たせる効果があります。アスコルビン酸などの発色補助…

オリーブオイルと一緒に食べる

パンやパスタなどの糖質を、オリーブオイルと一緒に摂ると血糖値の上昇が緩やかになるということです(出典:ダイヤモンドオンライン2017.10.24より)。 パン単独で食べる場合に比べ、バターを塗った場合でも血糖値の上昇が緩やかになりますが、オリーブオイ…

ポテチvs.コーヒー

食品中に含まれれる「アクリルアミド」の存在が指摘(2002年)されてから20年近く経ちます。アクリルアミドは生化学実験にも使う試薬で、学生時代の実習では「神経毒なので気をつけるべし」と習いました。ポテトチップスに含まれることを聞いたときはぎょ…

オルニチン

私たちの体内では、タンパク質がアミノ酸に分解され吸収されています。アミノ酸はいろんな化学変化を受けたのち、最終的にはアンモニアを生成します。しかし、アンモニアは人間にとって毒ですので、肝臓で尿素に変換され、その後排泄されます。 肝臓でアンモ…

コエンザイムQ10

しばらくテレビなどでみなくなったので、どうなったのかインターネットで検索すると、、、ゾロゾロ出てきました、健在です、コエンザイムQ10(CoQ10)。 CoQ10は細胞の中、ミトコンドリアでエネルギー代謝に関わっています。CoQ10の持つ還元作用(抗酸化作用…

みかんのスジ

季節柄、冬場になるとみかんの話題が多くなります。みかんの薄皮やスジは明らかに「食物繊維」という言葉にぴったりです。血糖値の上昇を緩やかにする「水溶性食物繊維」と排便を促す「不溶性食物繊維」があります。 さらに、みかんの薄皮やスジには、ポリフ…

カルニチン

2つ前の記事で、ミトコンドリアの脂肪が燃焼されることを書きました。正確には脂肪に含まれる「脂肪酸」がミトコンドリアに運ばれ、酸化されて、エネルギー(ATP)を作ります。 ミトコンドリアは二重の膜(外膜と内膜)で構成されていて、脂肪酸は内側の膜…