Dr_Salmiの研究室

食にまつわる話題

カルニチン

 2つ前の記事で、ミトコンドリアの脂肪が燃焼されることを書きました。正確には脂肪に含まれる「脂肪酸」がミトコンドリアに運ばれ、酸化されて、エネルギー(ATP)を作ります。

 ミトコンドリアは二重の膜(外膜と内膜)で構成されていて、脂肪酸は内側の膜を簡単には通過できません。サプリメントでも有名になっている「カルニチン」が「渡し舟」となり、内膜の内側への移動を助けます。脂肪酸ミトコンドリア内膜をめでたく通過すると、ようやく脂肪酸の酸化分解が始まります。ですから、カルニチンをせっせと摂って、脂肪の量を減少させるという理屈と願い(?)はわからないでもないです。

 しかし、厚生労働省のサイト(eJIM)では

健康な小児および成人は、1日に必要なカルニチンを肝臓および腎臓でアミノ酸のリジンとメチオニンにより十分な量を合成するため、食物やサプリメントから摂取する必要はない。安定したカルニチン血中濃度を維持するために、必要に応じて過剰なカルニチン代謝されるよりむしろ腎臓から尿中に排出される。  

と記述されています。「健康な人」がサプリとしてとるカルニチンは、どうやらトイレへ直行している模様です。

 ミトコンドリアで「渡し舟」となったカルニチンは、脂肪酸と一緒に分解されないのかというご質問について。 生化学の教科書の説明では、脂肪酸を移動させた後は、内膜の外側に回送され次の脂肪酸を迎えにいき(再利用され)ますのでご心配なく。