Dr_Salmiの研究室

食にまつわる話題

オルニチン

 私たちの体内では、タンパク質がアミノ酸に分解され吸収されています。アミノ酸はいろんな化学変化を受けたのち、最終的にはアンモニアを生成します。しかし、アンモニアは人間にとって毒ですので、肝臓で尿素に変換され、その後排泄されます。

 肝臓でアンモニアから尿素を作る代謝反応は「尿素回路」とよばれています。尿素回路ではオルニチンが用いられます。サプリメントなどでも有名になりましたので、ご存知の方も多いかと思います。しじみにはたくさん含まれるので、しじみ汁の宣伝にも登場していますね。

 オルニチンの効果ですが、睡眠時間が改善され、入眠と睡眠の維持の体感が改善されるとの報告があります(文献:Miyake et al. Nutrition Journal 2014, 13:53)。しじみにはたくさんオルニチンが含まれているので、同じ効果が期待できるのかもしれません。

 だいぶん前、しじみの研究をしている先生から「しじみをいじめるとオルニチンが増え、美味しくなるんですよー」と教えてもらったことがあります。事実、しじみを冷凍する(ストレスを与える)と、オルニチン含量が8倍にもアップするそうです。

 人間がぐっすり寝たいがために、しじみに冷凍ショックを与えてオルニチンを増産しているとすれば、少々申し訳ない気がしますが。