Dr_Salmiの研究室

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謎の二酸化炭素でカフェインが消えた、デカフェコーヒー

 コーヒーに含まれるカフェインの作用として、まず、眠気覚まし、利尿作用が思いつきます。その他に、集中力や運動能力を高めると言った作用も分かっています。さらにポリフェノール が含まれるために、健康への効果も期待されています。

         

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 健康効果が期待される一方、カフェインの過剰摂取を心配する声も高まっています。事実、カフェインには眠気覚ましや疲労軽減などの働きがあるものの、過剰に摂取した場合、食欲の抑制、不眠、めまい、吐き気などの影響が現れます。

 このような背景のもと、カフェインを除去したデカフェコーヒーの消費が世界で広がりつつあります。世界で飲まれているコーヒーの1割がデカフェコーヒーと言われていますが、日本ではまだ1%程度のようです。また、スーパーで並んでいるコーヒー豆の比率から見ても、デカフェコーヒーはまだまだマイナーな商品という印象があります。

 どうやってカフェインを除去するのか、安全性について気にされる方もおられるかもしれません。スターバックスなどのデカフェコーヒーでは、「超臨界二酸化炭素抽出法」が用いられているようです。「超臨界流体」は高温高圧条件下で生じる、液体と気体の性質を持った流体です。言い換えると、どこにでも忍び込む気体の性質と、成分を溶かす液体の性質を持っています。

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 超臨界流体となった二酸化炭素は、コーヒー豆に含まれるカフェインや油脂成分を溶かすことができます。そこで、コーヒー豆を水を含ませて油脂の溶出を防ぎ、超臨界二酸化炭素によりカフェインを溶出するそうです。

 有害な有機溶媒などを使わないで製造されているので、安全性は問題ありません。香りも味もほとんど変わらないデカフェコーヒーは、今後、コーヒの健康効果をさらに際立たせてくれるように思います。