Dr_Salmiの研究室

食にまつわる話題

人工甘味料

 今、どのような形でアメリカの現大統領が退任するのか、世界が注目しています。4年前の就任時、彼は1日12本ものダイエットコークを愛飲しているということが話題になりました。このコーラは人工甘味料を用いることで、カロリーを抑制しています。使用されている人工甘味料の一つに「スクラロース」があります。

 スクラロースは砂糖の600 倍の甘味度があり、コーラだけでなく、砂糖の代わりに使用することで食品の低カロリー化につながるということで、様々な食品に用いられています。本当にそうだとしたら、肥満や糖尿病の予防につながるということです。

 しかし、2014年に真逆の結果が報告されています。スクラロースを含むいくつかの人工甘味料を与えたマウスについて調べたところ、腸内細菌叢のバランスが崩れ、血糖値の上昇が確認されています(Nature . 2014 Oct 9;514(7521):181-6.)。マウスの結果なので、大統領も元気そうだし、ヒトでは大丈夫じゃないのと言われるかもしれません。どうなんでしょう??

 独立行政法人畜産産業振興機構のページ「砂糖」(リンク)では、「2003年のダイエット清涼飲料水の摂取量と糖尿病発症との関連を検討すると、ダイエット清涼飲料水を週に1カップ(237ミリリットル)以上飲む人は、飲まない人と比べて糖尿病発症の危険が1.7倍高かった」という結果が報告されています。

 今のところ、特にスクラロースを規制するようなルールはありませんし、国やメーカのサイトを調べてみても、心配しなくて良いような説明が多くみられます。反論するつもりはありませんが、納得できるデータもありません。

 確実に言えることは、スクラロースは砂糖のようには代謝されないということです。砂糖はエネルギーになったり、体の構成成分の一部にもなります。今後、合成物のスクラロースの安全性を示すような報告が出たとしても、不自然な甘味料になれるより、自分の下の感受性を鍛えて、砂糖の摂取量を下げる方が自然なような気がします。