Dr_Salmiの研究室

食にまつわる話題

SPF豚

 牛肉の生食、ステーキのレアがあるのに、豚肉は火を通さなくてはいけません。豚肉は寄生虫、E型肝炎ウイルスなどに感染していることが多いためです。現在は、特定の病原体が存在しない豚、いわゆるSPF(Specific pathogen free)豚が市場に出てきました。

 遡ること50年ほど前、アメリカでは養豚に損害を与える病原体を排除したSPF豚の作出が進み、日本でもそれを参考に研究が行われました(日豚会誌 39:2, 79-100, 2002)。SPF豚の作出では、帝王切開した豚を初代として、2代目、3代目となるべく病原体に触れないように育てて行くようです。

 SPF豚でも解体段階で細菌に感染する可能性があります。SPF豚を「無菌豚」とする表現が一部にあったようですが、無菌状態は特殊な環境でしか実現できません。SPF豚は特定の病原体(寄生虫、ウイルスなど)が抑えられていますが、他の菌は存在しているので、従来通り火を通して食べるのが安全なようです。