節分で「鬼は内、福は外」とのかけ声で大豆を投げるところもあるようです。商売をしている方は、鬼を大きな荷物とみなし、それが内に入らないと商売繁盛につながらないと言うことです。鬼を疫病とみなすなら、やはり「鬼は外」と言いたいところですが。
ところで、豆まきの大豆には、肥満を追い払う成分が含まれてたのをご存知でしょうか。鬼に投げつけるのは程々にして、食卓にていただきたいと思います。その2つの成分とは、レジスタントプロテインとレジスタントスターチとよばれ、タンパク質(プロテイン)とスターチ(でんぷん:糖質)が消化されにくい形になったものです。
レジスタントプロテインは、コレステロール低下作用を示します。最初に、植物性タンパク質の「そば」タンパク質にその作用があることが見出されました。植物性タンパク質は消化性が低いことが難点とされてきましたが、これが長所として注目されています(日本栄養・食糧学会誌 2012;65:253)。
大豆のレジスタントプロテインには高い胆汁酸結合能があり、脂肪の吸収を抑えます。さらに、大腸癌の発生抑制作用も報告されています。
一方、レジスタントスターチは、肥満、糖尿病の発症の予防につながることが示されています(Pediatr Endocrinol Diabetes Metab . 2019;25(2):81.)。さらに、レジスタントスターチは腸内細菌の餌となり、ビフィズス菌を増加させ、骨密度の低下を防ぐことも明らかになっています(Nutrients 2019, 11(2), 297)。
レジスタントスターチは、大豆のほか、とうもろこし、白米などに含まれます。また、冷飯のように、一度加熱されて、冷めることでその量が増加します。高野豆腐でも凝固、凍結、乾燥の工程で、レジスタントスターチが増えています。
大豆のレジスタント成分には、消化されにくいだけでなく、肥満防止をはじめ、注目したい様々な生理機能が備わっています。