Dr_Salmiの研究室

食にまつわる話題

酵素に罪はない

酵素で痩せる」などと謳う食品や飲料が出回っているようですが。そのような商品を販売している会社に対して、消費者庁から改善措置命令が出されています(リンク:消費者庁のページ)。

 酵素は「タンパク質」でできていますが、食品に含まれる成分である酵素は口から摂り入れると、ほかの成分の糖質や脂質と同じ様に、消化管で分解されてしまいます。酵素を食べたり飲んだりしても、バラバラに分解されてアミノ酸として吸収されます。

 では、医薬品として利用されてきた消化酵素はどうなるのか? 

 高峰譲吉氏による消化酵素「タカジアスターゼ」は、夏目漱石の「吾輩は猫である」にも出てきます。登場人物の苦沙弥先生は「大飯を食った後でタカジヤスターゼを飲む。」と描かれています。この酵素は、明治時代に発売開始以降、第一三共から販売されてきましたが、2019年に販売中止のアナウンスがされています(販売中止時期:2020年5月)。他にも医薬品として扱われてきた酵素製剤が、次々と販売中止になっています。

 今後、酵素汚名挽回のためにも、「酵素を口から取り入れても効果は期待できない」ことを、教科書に記述しないといけないかもしれません。体内で作られている酵素は、代謝を止めることなく、何も言わず日夜奮闘してくれています。